公的介護保険

日本は人口の約3割を高齢者が占めています。

高齢化社会では介護に関する問題は避けては通れません。

介護において大きな支えになるのが、高齢者などが必要とする介護サービスを受けられる公的介護保険制度です。

そこで今回は、公的介護保険についてお話していきます。

 

公的介護保険とは


まずは社会保障制度のおさらいから始めましょう。

社会保険とは、国民の安心や生活の安定を支える公的な保険の事でした。

公的介護保険はその一部として2000年に導入された社会保険制度で、全国民が加入することが義務付けられています。

この制度は、高齢者や障害者が必要な介護を受けることができるようにすることを目的としており、介護が必要になった場合にサービスを利用するための費用を補助します。

被保険者は第1号被保険者第2号被保険者に分けられます。

第1号被保険者は65歳以上の方が対象で、要介護被保険者と居宅要支援被保険者に認定されるとサービスを利用できます。

第2号被保険者は40歳以上65歳未満の医療保険加入者で、要介護被保険者、居宅要支援被保険者のうち特定疾患によるものと認定された場合にサービスを利用できます。

 

保険料の負担


公的介護保険の保険料は、前述の通り40歳以上の国民が支払うことになっています。

これはサービスを受ける被保険者自身が助け合いの考えに立って保険料を負担するとともに、国民皆で支えていくという考えに基づいています。

 

保険料は所得に応じて決まり、高い所得の人ほど保険料も高くなります。

また、年金受給者は年金から自動的に天引きされる形で保険料が徴収されます。

具体的な保険料の算出方法は自治体によって異なります。

 

例えば札幌市では、自己負担分を除く介護サービスに要する費用約4,843憶円(令和3年~5年分)のうち
約50%を公費で
約27%を第2号被保険者の保険料で
残りの23%を第1号被保険者の保険料で
支える仕組みとなっています。

 

また、公的介護保険では、利用者が一部の費用を自己負担することになっています。

これを利用者負担といいます。

具体的にはサービスの費用の1割が利用者負担となります。

ただし、所得に応じて負担割合が大きくなったり、低所得者には減免制度によって負担額が軽減されたりする場合があります。

 

介護サービスの内容


公的介護保険では、介護が必要と判断された場合に施設サービス、居宅サービス、地域密着型サービスの3つのサービスが受けられます。


施設サービスは要介護者のみが利用可能なもので、
・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
・介護老人保健施設
・介護療養型医療施設
の3つに分類されます。

介護老人福祉施設は日常生活を送るうえで常に介護が必要な人に適した施設です。

介護職員による日常的な健康管理が行われます。

介護老人保健施設は、症状が安定期にあり、入院治療をする必要までは無い人に適したし施設です。

在宅復帰を目指しながら日常生活の様々な介護とともにリハビリテーションなどを集中できに行います。

介護療養型医療施設は、継続的に医療サービスを受けながら長期療養が必要な人に適した施設です。

従来の病院の入院し施設に比べて介護機能に重点を置いています。

 

居宅サービスには
・自宅で受けるサービス
・通所型サービス
・短期入所型サービス
・施設内で受けられる居宅型サービス
・福祉用具のレンタルや住宅改修
などがあります。

内容は看護師が行う訪問看護や理学療法士、作業療法士が自宅を訪問して行うリハビリテーション、認知症高齢者が自立して共同で生活するグループホームなど様々です。

また、車いすや特殊寝台などのレンタルや、住宅に手すりを取り付けたり段差を解消したりする際の改修費も支給されます。

 

地域密着型サービスには
・小規模多機能型居宅介護
・夜間対応型訪問介護
があります。

小規模多機能型居宅介護では1つの拠点で通所介護、ショートステイ、訪問介護を提供しています。

夜間対応型訪問介護では、ホームヘルパーが定期巡回し、緊急事態に24時間対応しています。

 

これらのサービスを利用するためには、まず介護認定を受ける必要があります。

介護認定では、専門の認定機関が個々の介護が必要な状況を評価し、介護の程度(介護度)を決定します。

介護度は、要支援1・2と要介護1~5の合計7段階に分かれており、介護度が高いほど、利用できるサービスの範囲や内容が広がります。

 

また公的介護保険では、サービスの利用にあたって「ケアプラン」を作成する必要があります。

ケアプランは介護保険のサービスを適切に利用するための計画書で、介護が必要な人のニーズや希望に応じたサービスを提供することを目指しています。

ケアプランの作成は専門のケアマネージャーが担当し、利用者や家族と協力して計画を立てます。

 

まとめ


公的介護保険は、皆で支えあい高齢者や障害者が必要な介護サービスを受けられるようにする制度です。

受けられるサービス、介護サービスや介護予防サービス、住宅改修、介護用品貸与など多岐にわたります。

高齢化が進む日本において、介護は身近な問題として捉える必要があります。

自分や家族が将来介護を必要とした際に適切なサービスを受けられるように、どのような仕組みがあるのかを知っておきましょう。

【参考資料】
札幌市HP:介護保険料の計算
厚生労働省HP:公表されている介護サービス