前回まで2回に渡り、広義の社会保険のうち公的医療保険についてお伝えしてきました。
今回は労働保険の一つである労働者災害補償保険についてお話しします。
長い名前ですが、「労災」という単語は聞き覚えのある方が多いのではないでしょうか。
通勤途中に事故にあった場合や怪我をした場合にお金を受け取れるというイメージがあると思います。
上記の例は労災保険の一部であり、実際にはその他にも多岐に渡る保険の給付があるのです。
労災保険の給付条件と手続き一覧
社会保険便覧によると、下記の通りとなっています。
・療養補償給付
給付条件)業務上(通勤)災害の傷病について労災病院や指定病院で治療を受けるとき
手続き)病院を経由して労働基準監督署へ療養の給付請求書を提出する
・休業補償給付
給付条件)業務上(通勤)災害の傷病のため労働不能となり賃金の支払いを受けなとき
手続き)事業主・診察担当者の証明をつけて労働基準監督署へ請求する
・傷病補償年金
給付条件)業務上(通勤)災害の傷病で療養を開始して1年6ヶ月経っても治らず、しかもその傷病の程度が傷病等級第1級~第3級に該当しているとき
手続き)療養開始1年6ヶ月目にその傷病がまだ治っていない場合、「傷病状態に関する届」を労働基準監督署へ提出して、監督署が決定する
・傷害補償給付
給付条件)業務上(通勤)災害の傷病が治った後、障害等級表の1級から7級までに当てはまる障害が残ったとき
手続き)「障害給付請求書」に診断書・レントゲン写真をつけて労働基準監督署へ請求する
・介護保障給付
給付条件)障害(補償)年金・傷病(補償)年金の受給権者で常時または随時介護を必要とするとき
手続き)介護保障給付請求書を労働基準監督署に提出する
・遺族補償給付
給付条件)業務上(通勤)災害の傷病で死亡し死亡の当時その労働者による生計維持の妻、60歳以上の夫、18歳未満の子、60歳以上の父母、18歳未満の孫、60歳以上の祖父母、18歳未満か60歳以上の兄弟姉妹の順序で受けられる
手続き)「遺族(補償)年金支給請求書」に死亡診断書・戸籍謄本をつけて請求する先順位者が死亡したときは次順位者に転給される
・葬祭料
給付条件)労働者が業務上(通勤)災害の傷病で死亡したとき
手続き)死亡診断書などをつけて労働基準監督署へ請求する
補償の対象
ややわかりにくい表現になっていますが、幅広い範囲をカバーしていることはお分かりいただけたでしょうか。
労災保険は[su_highlight background=” #ffff00 ” color=”#000000″ class=””]雇用されているすべての労働者 [/su_highlight]が対象です。
当然アルバイト、パートタイマー、日雇労働者、外国人労働者も含まれます。
ところが[su_highlight background=” #ffff00 ” color=”#000000″ class=””]保険料は全額事業主が負担 [/su_highlight]しているため、労働者は加入しているという意識が薄くなってしまいがちです。
仕事中に自分の身に何か起きた場合には、適用できる可能性があると頭の片隅に置いておいて下さい。
まとめ
いつもお伝えしている通り、各種制度をすべて理解し覚えるには莫大な時間と労力を必要とします。
まして自分や家族が事故にあった時に冷静にその知識を活用することは至難の業です。
大切なのは何かが起きた時に、[su_highlight background=” #ffff00 ” color=”#000000″ class=””]すぐに相談できる窓口[/su_highlight]があることです。
これからの長い人生に備えて、 転ばぬ先の杖として普段から連絡できる相手を用意してみてはいかがでしょうか。