お金について考えるとき、多くの人は「難しそう」「損をしたら怖い」といった印象を抱きがちです。
ただ、正しい知識を身につけておけば、資産を増やすチャンスは誰にでも開かれています。
まずは、投資初心者の方が陥りやすいポイントを知り、失敗を避けることが大切です。
そこで今回は、投資を始める際に大事な考え方についてお話していきます。
分散投資をする
投資を始めるときに「ひとつの銘柄や商品にお金を集中させたほうが早く儲かりそうだ」と考える方は少なくありません。
しかし、思わぬ経済の変化や企業の不祥事などによって、そのひとつが大きく値下がりすると資金のほとんどを失ってしまう危険があります。
リスクを下げるためには、複数の資産にお金を振り分ける「分散投資」が欠かせません。
たとえば株式だけでなく投資信託や債券、不動産投資信託(REIT)など、性質の異なるものを組み合わせることで、どれか一つが値下がりしても全体への打撃を抑えることができます。
実際に、日本銀行の調査によると、日本の家計資産のうち預貯金の割合は約51%と非常に高い水準です。
一方で米国は12%、ユーロエリアでは34%であり、その他の資産に振り分けられていることがわかります。
預貯金は安全性が高い反面、大きく資産を増やすことは難しいという側面があります。
そこで、時間をかけてリスクと向き合いながら株式や債券などにも資金を振り分けると、長期的に資産が成長しやすくなります。
分散と聞くと「手間がかかりそう」と思うかもしれませんが、たとえば複数の銘柄や金融商品を組み合わせた投資信託を利用すれば、一度の購入で自動的に多くの企業へ投資できる仕組みを取り入れることも可能です。
こうした方法を知って実践するだけでも、将来的なダメージを大きく和らげることにつながります。

手数料や税金を軽視しない
初心者の方が見落としがちなのが、投資にかかる手数料と税金です。
たとえば、購入時の手数料や毎年支払う管理費用が高い投資商品を選んでしまうと、せっかくの運用益が目減りしてしまいます。
また、売却益や配当金には約20%の税金がかかるため、手数料とあわせて考えると想像以上にコストが大きくなる場合があります。
コストを把握するには、まず証券会社や銀行のホームページを見て、購入手数料や信託報酬(投資信託の場合)などの数字を調べることが大切です。
そして、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)などを利用すれば、非課税の枠を活用して税金の負担を減らすことができます。
これらの制度は運用益や配当金が非課税になったり、掛金が所得控除の対象になったりすることで、結果として実質的なリターンを高めることが可能です。
こうした制度をうまく使わずに、必要以上に高いコストを払い続けるのはもったいないことです。
投資をする際は、目立つ利回りだけでなく、手数料や税金を含めた「実質的な利益」を計算する習慣をつけましょう。

長期的な視点を持つ
資産運用の世界には「すぐにもうかる話」はめったにありません。
それでも、ネットニュースやSNSなどで「急騰している」という情報を見かけると、短期的に大きく稼げるかもしれないという期待が高まることがあります。
しかし、株価や為替は日々変動するため、うまくいけば利益が出る反面、突然の下落による損失リスクも常に存在します。
目先の値動きだけで買い時や売り時を判断してしまうと、思わぬタイミングで暴落に巻き込まれ、慌てて資産を売り払う「失望売り」に陥りやすいのです。
こうした状況を避けるには、投資を「短距離走」ではなく「マラソン」と捉える姿勢が重要です。
長期保有を前提として、企業の成長性や市場の動向をじっくり見極め、少々の下落があってもいちいち感情的にならないようにすることが大切といえます。
もちろん、どうしても不安なときは一部を売却して現金化するなど、リスクをコントロールする方法もありますが、あまりにも短いスパンで売買を繰り返すと、手数料や税金で利益が削られる場合も多いです。
結局のところ、急いで資産を増やそうとするほど大きな失敗を招きやすいのが投資の難しさでもありますので、景気の波を乗り越えながらコツコツと続けていく意識を持つことが肝心でしょう。

まとめ
投資は少しずつ学びながら続けていくことで、長期的に資産が増える可能性が高まります。
はじめから大きく勝とうとするのではなく、手数料やリスクをしっかり管理しながら堅実に進めていく姿勢が大切です。
今回ご紹介したポイントを意識すれば、失敗の確率を下げることができます。将来に向けて、自分らしい資産づくりを楽しみながら続けていきましょう。