普段何気なく暮らしているなかにも行政から受けているサービスは多く存在しています。
道路の整備や学校の運営、消防やごみ処理等、生活に欠かせないものですね。
そんな行政サービスを運営する財源のひとつとなっているのが住民税です。
そこで今回は住民税についてお話していきます。
住民税とは
住民税とは、一言でいうとあなたが住んでいる都道府県や市町村に支払う税金です。
使い方は多岐にわたりますが、例えば土木費としては道路や橋などの整備や公園の緑化、降雪地帯では除雪も行われます。
教育費として学校や幼稚園だけではなく、生涯学習施設や図書館の運営管理に使われています。
他にも消火活動や救急活動に使われる消防費、社会福祉や児童福祉、公害対策やごみ処理などに使われ、地域の公共サービスを支える重要な財源となっています。
住民税の計算方法は主に2つの部分から成り立っています。
それが「所得割」と「均等割」です。
所得割というのは、個々の所得に応じて課税される部分です。
1年間に得たすべての所得(給与、事業所得、株式の配当など)から必要経費や特別控除を引いたものが所得金額と呼ばれるものです。
その所得金額に対して一定の税率をかけて計算します。
一方、均等割は、自治体のすべての住民が平等に負担する部分です。
自治体ごとに一定の金額が設定され、その金額が一律に課税されます。
住民税の合計額は、所得割と均等割の合計となります。
ちなみに住民税は前年の所得に対して計算されます。
社会人2年目の方が手取りは少なくなった…という話を聞くのはこのためです。
社会に出る前の学生の最終年と比較して、社会人1年目の方が所得は高くなる場合が多いですね。
それに応じて住民税が高くなり、それが給与から天引きされた結果手取りが少なくなるというからくりです。
住民税の納付
住民税は通常、6月から開始され分割して納付します。
各自治体が納付方法を案内しているので、それに従って納付しましょう。
会社員の場合は給与から天引きされるので特に意識することは少ないかもしれません。
住民税を滞納すると、多くのデメリットがあります。
まずは遅延利息の発生です。
これは、納付期限を過ぎてから滞納税が納付されるまでの期間に対して、一定の利息率で計算されるものです。
また、納税義務者が住民税を滞納したままでいると、最終的には税務署が強制的に滞納税を徴収する滞納処分が実施されることがあります。
滞納処分には、給与の差し押さえや預貯金の差し押さえ、不動産の仮差し押さえや競売などが含まれます。
さらに信用情報が悪化する可能性もあります。
住民税の滞納情報は信用情報機関に報告され、その結果として信用情報が悪化してしまいます。
これにより、クレジットカードの新規発行やローンの審査などで不利な影響を受けてしまうことになります。
実際に支払う延滞利息だけではなく、クレジットカードやローンの本来受け取れるはずだったメリットを失うと考えるとその大きさは甚大です。
税金は確実に納めるようにしましょう。
なお、納税が困難な場合は、自治体に相談することで分割払いや延納などの制度を活用することが可能な場合もあります。
納付に困った時は
税金問題は早めに対応することで、深刻な問題を避けることができます。
住民税には、一部の人々に対する支援策として特例制度が設けられています。
例えば軽減税制として、一定の所得以下の人や、特定の家庭状況に対しては税額が軽減される制度があります。
これにより、生活困窮者や子育て世帯の経済負担が軽減されます。
また、災害による税額軽減として、自然災害などで被災した場合に一定の条件下で住民税が減額される制度があります。
これにより、被災者が経済的に困難な状況にあっても、税金の負担を軽くすることが可能です。
これらの特例制度は、住民税の公平性を確保し、生活困窮者や特定の世帯の経済負担を軽減するためのものです。
他にも生計を一にする、つまり家計を支えてくれている親族が病気になった場合や事業を廃止したり大きな損失を被ったりした場合など、緊急的な場合には納税を猶予してくれる制度もあります。
ただし、各自治体や状況により具体的な内容は異なるため、詳細については各自治体に問い合わせることをおすすめします。
大切なのは余裕が無いからといって勝手に滞納せずに、納税期限前に自発的に役所の担当部署に相談することです。
まとめ
住民税についての基本的な知識をお伝えしました。
税金は私達の生活を支える大切なものです。
自分が何にお金を払っているのか理解してしっかりと納税の義務を果たしましょう。
あなたの理解がより良い地域社会を作る一歩になりますように。
【参考資料】
札幌市:市税収入とそのゆくえ
同:税額の算出方法
同:市税の減免と納税の猶予
同:自主納付と滞納
同:延滞金