株と金利と為替

株式市場、金利、為替の関係性は、経済や投資に興味がある人にとって重要なテーマです。
しかし、これらの用語やその関係性は、初めて学ぶ人にとっては難しく感じることが多いです。
ここが理解できると、金融経済への理解が深まる一歩になるはずです。
そこで今回は、株と金利と為替の関係についてお話します。

 

株、金利、為替とは


株とは、企業が資金を調達するために発行する証券です。
株を購入すると、その企業の一部を所有することになります。
株主は、企業の利益の一部を配当として受け取ったり、株価の上昇によって利益を得たりすることができます。
そのため、会社の業績や将来性と社会経済の状況が大きく影響します。
株式市場は、株の売買が行われる場所で、企業の経営状況や経済の動向に応じて株価が変動します。

金利とは、お金を借りたときに支払う利息の割合のことです。
例えば、銀行からお金を借りるときに発生する利息が金利です。
金利は、日本では日本銀行にあたる中央銀行が設定する政策金利によって影響を受けます。
政策金利が上がると、借りるお金のコストが高くなり、消費や投資が抑えられる傾向があります。
逆に、政策金利が下がると、借りるお金のコストが低くなり、消費や投資が活発になります。

為替とは、異なる通貨間の交換比率のことです。
例えば、日本円と米ドルの交換比率を為替レートといいます。
為替レートは、経済状況や金利の差、国際的な資本の流れなどによって変動します。
為替市場では、通貨が取引され、各国の経済状況や政治情勢に応じて為替レートが変動します。

景気サイクルと株、金利、為替の関係

景気循環とは、経済活動が拡大と収縮を繰り返す現象です。
景気が上昇すると、株価は先行きへの期待から上昇し、設備投資や住宅投資の増加に伴い金利も上昇します。
また、実需を含めて通貨も買われる傾向があります。

景気が過熱すると、中央銀行はインフレ対策として金利を引き上げます。
この状況では市場に流れるお金が減るため、株式市場は下落の傾向が出始めます。
通貨は金利が高い国のものが買われる傾向があります。
ただし、デフレが続くと金利上昇が難しく、利上げも行えないことがあります。

景気が後退すると、株価は下落し、金利も資金需要の減少に伴い下がります。
通貨も実需が減り、売られる傾向があります。
景気対策として、政府は市場に資金を供給し、金利を下げて資金需要を促します。
これにより、株価や通貨が上昇することもあります。

景気対策が成功し、「谷」を脱することができれば、景気は回復に向かいます。
景気循環と各市場の動きは連動することが多いですが、
その反応の大きさやタイミングは異なります。
また、他の要因や投資家の期待によっても影響を受けます。
株式市場や為替市場は、実際のニュースや経済状況だけでなく、期待によって先取りの反応が大きいです。
そのため、情報を多く集め、事前に市場参加者の期待を察知することが重要です。

 

実際の市場の動き


具体的な事例を通じて、株式、金利、為替の相互関係を見てみましょう。
リーマンショック(2008年)では、アメリカのサブプライムローン問題が発端となり、世界的な金融危機が発生しました。
この時、アメリカの株式市場は大きく下落しました。
同時に、アメリカの中央銀行であるFRBは政策金利を大幅に引き下げました。
この金利引き下げは、経済を刺激しようとするものでしたが、同時にドルの価値を下げる要因にもなりました。
ドル安となった結果、他の通貨との為替レートにも影響を及ぼしました。

アベノミクス(2012年)では、日本の金融政策が大きな注目を集めました。
日本銀行は大胆な金融緩和政策を実施し、金利を低く保ちました。
この政策により、円の価値は下がり、円安となりました。
円安は日本の輸出企業にとって有利に働き、株式市場も上昇しました。
このように、政策金利の変動が為替に影響を与え、さらに株式市場にも波及する例です。

 

まとめ

株、金利、為替はそれぞれが密接に関連しており、経済全体に大きな影響を与えます。
このつながりを意識しながらニュースを見ると、なるほどと思うことがあるはずです。
なにごとも少しだけわかるようになると楽しくなり、より興味を持つようになりますね。
このコラムを読んで経済について少しでも興味がわけばうれしい限りです。