相互関税の影響

世界経済の話題はニュースで目にする機会が多いですが、専門用語が多く、難しい印象を受ける人もいるかもしれません。
それでも、私たちの日常生活に影響をもたらしているのは事実です。
4月の上旬から、アメリカのトランプ大統領が特定の製品に新たな関税を課すかもしれないとの報道が広がり、世界の投資家たちは警戒心を強めました。
そこで今回は、この一連の流れをなんとなく理解できるようにお話ししていきます。

 

米国株式市場の動き


今回の関税報道が最初に大きく影響を与えたのは、アメリカの株式市場でした。
2025年4月2日、トランプ大統領が貿易相手国に関税を課すと発表しました。
これを受けて、投資家たちは「多くの企業のコストが上昇し、利益が減るのではないか」と心配し、株を売る動きが一気に加速しました。
その影響で、アメリカを代表するS&P500という株価指数は、4月3日から8日の間に約10パーセント下落しました。
ところが、その後「関税を90日間猶予し、交渉を進める」との発表があり、投資家は「もしかすると当初の予想ほど大事にはならないかもしれない」と考えるようになります。
そのため、いったん下落した株価はやや持ち直し、最終的に4月9日にはS&P500が9%も回復しました。
これは、市場が不安を抱えつつも、ひとまず拡大しすぎる恐れは少ないと判断したことの表れだと言えるでしょう。

日本の株式市場の動き


アメリカの株式市場が大きく動くと、世界の投資マネーの流れは日本にも影響を与えます。
今回も、米国発の貿易摩擦が再び強化されるかもしれないというニュースが流れると、日経平均株価は日本企業もアメリカ向けの輸出が減るかもしれないとの懸念から下落に転じました。
特に、自動車や機械など、海外で売れなければ収益が落ちてしまう企業の株は売られやすくなりました。
実際に、4月2日に35,725円だった日経平均株価は、7日には31,136円まで下落しています。
しかしその後、「関税がすぐに大規模には適用されない可能性が高い」という見方が広がると、投資家の不安はやや和らぎました。
さらに外国為替市場で円安が進み、輸出企業の業績がそこまで大きく落ち込むことはないかもしれないという見方が支えとなり、株価は緩やかに持ち直します。
そうして4月8日から11日にかけて日経平均株価は反発し、33,585円で取引を終えています。
これは、投資家が慎重さを保ちながらも、日本の企業がすぐに重大な打撃を受けるわけではないと判断したことを示しています。

 

金相場とVIX指数


関税の話題が巻き起こるたびに、人々は「もし世界経済が不安定になったらどうしよう」と考え、安全な資産とされる金を買う動きが強まることがあります。
今回も報道後には、一時的に金価格が上昇しました。
金は「価値が下がりにくい」と見られているため、景気の先行きが危ぶまれると購入する投資家が増えるのです。
ただ、その後「関税が全面的に実施されるわけではないかもしれない」という見方が強まると、金を買おうとする動きはやや落ち着き、価格は高値から少し調整されました。
また、アメリカ株の不安定さを示すVIX指数(恐怖指数)も、最初は急激に上がりましたが、追加情報によって「そこまで大事にはならないかもしれない」と投資家が受け止め始めると、ピークの水準からはやや落ち着きを取り戻しています。
とはいえ、完全に安心できるわけではなく、もし関税が拡大して本格的な貿易戦争に発展すれば、再びVIX指数が急上昇する可能性は残されています。

まとめ


今回の関税報道は、世界の市場に「保護貿易がさらに進むかもしれない」という緊張感をもたらしましたが、直後の追加情報によって一部の混乱はやや抑えられました。
政治的なニュースが経済の動きを左右する状況は、今後も続く可能性があります。
お金の報道に興味を持ってみると、少しずつ理解が進みます。
ぜひ、「お金の勉強」だと思って経済ニュースを読んでみてください。