為替介入

為替市場が急激に変動してしまうと、経済に様々な影響を与えてしまいます。
その影響を防ぐために、国が市場に介入して自国通貨の価値を調整する行為が為替介入です。
為替介入が行われると大々的に報道されるため、新聞やニュースで目にすることもあるでしょう。
そこで今回は為替介入についてお話していきます。

 

為替介入とは


為替介入は、国の経済政策に合わせて通貨の価値を調整するために、通貨当局が市場に介入する行為です。
正式名称は「外国為替平衡操作」といいます。
具体的には、中央銀行が外貨を買ったり売ったりして、自国通貨の量を増やしたり減らしたりします。
介入は通常、自国通貨が大きく価値を下げたり、逆に急激に上がったりしたときに行われます。
介入により、通貨当局である財務省と日本銀行が保有する通貨を市場で売買することで急激な変動を抑え、安定化することを目的とします。

為替介入の効果


為替介入には、通貨の価値を安定させることで経済を守る効果があります。
通貨価値が安定すれば、輸出企業は安心してビジネスプランを立てられるようになり、外国の投資家も市場の予測がしやすくなります。
しかし、市場の自然な流れに逆らって介入を行うと、長期的には市場の効率を損ない、経済全体に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、国際的な政治的圧力や通貨戦争を引き起こすリスクも伴いますので、為替介入は慎重に実施されるべきです。

 

為替介入の歴史


日本では過去に何度も政府と日本銀行による為替介入が行われています。
2001年には、9月11日の米国同時多発テロの影響でドルが急落し、円高ドル安が進行したため、約3兆円の円売り・ドル買い介入を行いました。
結果として、為替レートは1ドル110円台半ばから130円前後まで円安に進みました。
2003年のイラク戦争勃発時には、アメリカの双子の赤字問題を背景に、再び円高ドル安が進行しました。
これに対応するため、2003年5月から2004年3月にかけて、約32兆円の円売り・ドル買い介入が行われました。
2011年の東日本大震災後、日本経済の落ち込みにも関わらず円高が進行しました。
10月末には1ドル75円32銭という過去最高の円高を記録したため、政府は覆面介入と呼ばれる秘密裏に為替介入を行い、後に約9兆円のドル売り・円買いだったことが財務省から公表されました。
2022年には、円安ドル高が進行する中、9月に約2.8兆円の円買い介入を行いました。
その後も円安が続いたため、10月には2回にわたる円買い介入を実施し、合計で約9.1兆円の円買い介入が行われました。

まとめ


為替介入は経済政策において重要な役割を果たしますが、それにはリスクも伴います。
市場の自然な動きに逆らう介入は、一時的な効果はあっても、長期的には問題を引き起こす可能性もあるものなのです。
新聞やニュースで報道されていることが分かるようになると、経済に少し興味が湧いてくるはずです。
少しずつお金のことが分かるように知識を積み重ねていきましょう。

【参考資料】
財務省:外国為替平衡操作の実施状況