金融リテラシー

私たちの生活にはお金に関する決断がつきものです。
ただ、そこに対する知識が十分でないと感じる人も多いのではないでしょうか。
金融リテラシーを身につけることは、お金を「守る」だけでなく「増やす」ために非常に重要です。
そこで今回は金融リテラシーについてお話していきます。

 

金融リテラシーとは


金融リテラシーとは、簡単に言うと「お金に関する基本的な知識や判断力」のことです。
これはは、炊事や洗濯と同じく生活スキルの一つとして身につけるべき能力です。
お金の使い方、貯め方、増やし方を理解することで、将来の生活の安定や目標の実現がしやすくなります。
たとえば、収入と支出を管理するスキル、借金やクレジットカードの利用方法、そして「リスク」を理解して自分に合った投資判断を下す能力も含まれます。

金融リテラシーが高い人ほど、必要以上の支出を抑え、無理なく資産を増やす工夫をしています。
日本銀行の調査によると、日本人の多くは預金を資産形成のメインにしており、株式や投資信託などの運用資産の割合が低い傾向があります。
しかし、金融リテラシーを高めることで「お金に働いてもらう」発想が身につき、リスクに対する備えも増えるのです。
金融リテラシーは、より良い生活を築くために不可欠な力と言えます。
具体的な内容は、政府機関が作成している金融リテラシーマップで紹介されています。

 

リスクとリターンの関係


資産運用では「リスク」と「リターン」の関係を理解することが基本です。
リスクは運用の不確実性、つまり損をする可能性であり、リターンは投資で得られる収益です。
一般に、リスクが高い投資ほどリターンも高くなる傾向がありますが、損失の可能性も高まります。
たとえば、株式投資はリスクが高いですが、成功すれば預金に比べて高いリターンを期待できます。
逆に、預金はリスクが低く元本割れのリスクはほぼありませんが、リターンは低めです。
もう少し身近な例として回数券で考えてみましょう。
10回分の料金で11回利用できる回数券だと、リターンは10%です。一方で考えられるリスクとしては、そのお店が閉店する等の理由で使えなくなるというケースです。
このリスクとリターンを理解したうえで、自分にとって得だと考えるのであれば購入するのが良いでしょう。

また、運用で効果を発揮するのが「複利の力」です。
複利とは、得られた利益に再び利息がつき、利益が利益を生む仕組みのことです。
複利で運用すると、時間が経てばたつほど増加スピードが加速します。
たとえば、年利3%の投資を30年間続けた場合、初期投資の倍以上の資産が得られることが期待できます。
このとき30年目の1年間で増える金額は、1年目の1年間で増える金額の2.3倍になります。
このことからも、複利の力を理解し長期間の運用を続けることが資産を効率よく増やすカギとなることがわかります。

 

ライフプランの重要性


資産運用を始めるときには「何を達成したいのか」という目標を設定することが重要です。
たとえば、老後のための備え、子どもの教育資金の準備、または住宅購入資金など、人によって目的はさまざまです。
このように目標を明確にすることで、どの金融商品にどのくらいの期間投資するか、どれくらいのリスクを取るかを決めやすくなります。
目標が具体的であるほど、計画も立てやすくなり、運用に対するモチベーションも保ちやすいでしょう。

そのために必要なのがライフプランです。
ライフプランとは、将来に向けた人生設計のことで、収入や支出、投資の方針を含む総合的な計画です。
たとえば、近い将来に使う資金と老後に必要な資金では運用の方針が異なるのが一般的です。
ライフプランを立てずに投資をするのは、献立を考えずに食料品の買い物に行くようなものです。
安売りをしているとつい売り場で目移りして、必要ではないものまで買ってしまった経験があるのではないでしょうか。
知り合いが株や仮想通貨で儲けたという話を聞くと、つい自分も手を出したくなるものです。
それでも、ライフプランをベースに資産運用を計画することで、自身の人生に最適な手段を選択することが出来ます。

 

まとめ


金融リテラシーを高めることは、日々の生活や将来の生活をより豊かにするために欠かせない力です。
リスクとリターンのバランスを理解し、複利を活かした長期運用に取り組むことで、効率的に資産を増やすことが可能です。
さらに、目標を明確にしてライフプランに沿った運用を行うことで、安心してお金を運用できるようになります。
資産運用を通じて、豊かな生活の土台を築いていきましょう。

【参考資料】
金融経済教育推進会議:金融リテラシー・マップ