契約や手続きをよくわからずに進めてしまう事は非常に危険です。
本人だけではなく、家族や親戚にまで影響を与えてしまう可能性もあります。
高齢社会の日本において認知症は他人事ではありません。
そこで今回は成年後見人制度についてお話します。
成年後見人制度とは
まず、成年後見人制度とは何かを簡単に説明すると、自分がうまくお金や財産の管理ができなくなったときに代わりにそれを守って管理してくれる人を任命する制度のことを指します。
聞いたことはあるけど、老後のことだし今の自分には関係ないよねと思うかもしれません。
ところが、実は20代や30代の今のうちに知っておくことで未来の自分や家族を大きく守ることに繋がります。
例えば祖父母が認知症になり、日常の判断が難しくなった場合、その財産管理や日常のサポートが必要になります。
預貯金の管理や相続の手続きの他、福祉サービスの利用契約や施設への入所手続きなども、判断が難しい状況では適切なものをひとりで選択できない可能性があります。
日本は人口の約30%が高齢者であり、また、2025年には認知症の有病者数が約700万人、高齢者人口の約20%が認知症になるという研究結果もあります。
判断が出来ないままに不当な契約を結んでしまうと、大切な資産を失ってしまう可能性があります。
家系としての資産を守るという観点からも、若い世代にとっても無関係とはいえないでしょう。
ひとりではよくわからない、そんなときでも安心して暮らせるための制度が成年後見人制度です。
法定後見と任意後見
その種類は「法定後見」と「任意後見」の2つの大きなカテゴリーに分かれます。
法定後見とは、何らかの理由で判断能力がなくなった後、裁判所が後見人を任命する制度です。
後見人の役割としては、資産の管理や日常生活のサポート、法的な手続きなど、指定された範囲内での代理とサポートを行います。
サポートの仕方は後見される人の判断能力の程度によって「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれます。
詳しい説明は割愛しますが、後見が最も包括的なもので、補助が最も範囲が狭いものです。
一方で任意後見とは、自分がまだ健康なうちに、もし将来自分が判断できなくなったらと考え、事前に後見人を任命しておく制度です。
任意後見契約を締結し、その契約書の内容に沿ったサポートを行います。
どんな時に成年後見人制度を利用するのか
この制度は、人それぞれの状況やニーズに合わせて利用されるものです。
年齢を重ねることで高齢による体力・判断力の低下があらわれ、一人での生活や財産管理が難しくなることがあります。
また、利用する状況は実は認知症ばかりではありません。
精神的な疾患と診断されたり、症状が現れたりした場合、日常生活の判断や財産管理が難しくなることがあります。
このようなときにも、後見人がサポートすることで安全に生活を続けることが可能です。
任意後見制度を利用して、健康なうちに信頼出来る相手と任意後見契約を結ぶことも一つの選択肢です。
これにより、将来的な問題が発生したときに、信頼できる後見人がサポートしてくれる仕組みを作ることが出来ます。
転ばぬ先の杖として、未来のリスクに備えることも人生の計画としては必要になってくるのではないでしょうか。
まとめ
成年後見人制度は安心して暮らせるための制度です。
今後ますます認知症が増えると予測される日本で、誰もが他人事として捉えてはいけない制度です。
その時がきても困らないように、事前に家族でよく話し合って対策を決めておきましょう。
家系としての資産、そしてあなたの未来の資産を守るために必要な制度です。
【参考資料】
総務省統計局:人口推計
厚生労働省老健局:認知症施策の総合的な推進について「認知症の人の将来推計について」
厚生労働省:成年後見人制度