金融商品と関連法規

金融商品のなかには仕組みが複雑なものもあり、取引には知識が必要なものもあります。

購入する側の消費者が一方的に不利にならないように、保護してくれる法律が定められています。

そこで今回は金融商品の取引に関する法律についてお話していきます。

金融商品の取引に関連する3つの法律


金融商品の取引に関連する法律は3種類あります。

1つめは消費者契約法、2つ目は金融商品販売法、3つ目は金融商品取引法です。

それぞれが対象とする範囲や規制が異なりますので、その特徴を見ていきましょう。

 

消費者契約法とは


消費者契約法とは、消費者の利益を守ることを定められた法律です。

消費者(=お客さん)と事業者(=商品を販売する専門家)との間には情報の質や量に差があるのは当然のことです。

その差を利用して消費者が不利益を被るのを防ぐために、契約における消費者の権利を保護しつつ事業者に対しても一定の規制をかけています。

この消費者契約法のポイントは3つあります。

 

1つめは事業者の一定の行為によって契約が結ばれた場合、その契約の取り消しが出来るということです。

例えば事業者が嘘をついたり不利益になることを話してくれなかったり、または必ずこうなりますよと決めつけたことが原因で、契約の内容を間違えて理解して契約してしまった場合です。

これは誤認させたとして契約取消の対象となります。

他には、契約するまで帰ってくれないor帰らせてくれない、不安を煽られる、判断力が低下して合理的な判断が出来ない状態を利用する、心理的な負担を抱かされて勧誘される、購入することで悪霊を除去できるなどと告げられて仕方がなく契約してしまった場合などです。

このように顧客を困惑させて契約させた場合も取消の対象となります。

また、消費者にとって通常の分量を著しく超えるものであることを知っていながら勧誘した場合にも契約を取り消すことが出来ます。

 

2つ目のポイントは契約そのものが有効でも、条項が無効となる場合があるという事です。

「~~の場合でも当社には賠償責任はありません」といった内容で事業者の損害賠償責任を免除するような内容や、商品に欠陥があっても責任を取らないといった内容、「当社に過失があると当社が認める場合を除き、契約の解除は出来ないものとする」という事業者が自らの責任を自ら決める条項などです。

これらの条項が記載されている契約は、契約そのものは有効ですが不当な条項については無効となります。

 

3つ目のポイントは契約の取り消しが可能な期間です。

消費者が気付いた時から1年以内(ただし、契約時から5年を超えない範囲)であれば、事業者の不当な行為を立証することで取消をすることが可能です。

この消費者契約法は金融商品に限らず広く適用されます。

 

金融商品販売法とは


金融商品販売法とは顧客の利益の保護を目的として定められた法律です。

金融商品の多様化により、金融商品販売業者に一定の規制を設けることで金融商品の販売やトラブルを防ぐためのものです。

対象となる金融商品は預貯金や外貨預金、保健、共済、債券、株式、FX、暗号資産等、広い範囲がカバーされています。

 

この法律により、金融商品を販売する業者には3つの規制が設けられています。

1つめは販売前の説明義務です。

契約後ではなく、販売前に重要事項を説明する義務があります。

重要事項とはその商品のリスクや元本する可能性の他、権利行使期間がある場合はその説明や解除可能の期間がある場合はその説明の事を指します。

こちらの重要事項の説明については、適合性の原則といって、顧客の知識、経験、財産の状況および契約の目的に照らして顧客に理解されるために必要な方法や程度によることとされています。

 

2つ目は断定的判断の提供の禁止です。

これは必ずこうなりますよ、この株は絶対あがるから今買っておくべきですよ、等と決めつけて販売することを規制しているものです。

 

3つ目は勧誘方針の策定と公表です。

これは適合性の原則について配慮すべき事項や勧誘方法について配慮すべき事項などを含む勧誘方針を定めなければいけないというものです。

金融商品販売業者がこの規制に違反した場合には、顧客への損害賠償が発生します。

この場合も顧客が立証する必要がありますが、顧客の負担軽減のために2つのルールが定められています。

説明義務が販売業者にあるため、説明が無かった場合は立証が不要になります。

また、損害額は元本欠損額と推定される額と定められており、損害の金額を証明することも不要とされています。

 

金融商品取引法とは


金融商品取引法とは投資清野ある金融商品を取引する際の利用者の保護と公正な市場作りを目的として定められた法律です。

この法律で定められている規制には、前述の適合性の原則や断定的判断の提供禁止の他、契約締結前および締結時に交付する書面に関する規制の他、勧誘時の禁止行為や損失補てんの禁止などについて定めています。

金融商品販売法は販売時に限った規制ですが、金融商品取引法は販売・勧誘・契約の場面で規制を明確化しています。

また、透明で公正な市場作りのためにインサイダー取引や風説(うわさ)の流布、相場操縦などに関する罰則も定められています。

 

まとめ


金融商品の取引に関わる法律を紹介してきました。

1人の消費者としてその業界の専門家と同等の知識を備えるのは非常に困難です。

信頼出来る専門家に相談するのが一番良いですね。

万が一悪質な業者と契約をして不利益を被ることが無いように、守ってくれる法律があることは知っておきましょう