相続は多くの人にとって避けては通れない道です。
なかでも不動産の相続については、各種専門家との連携が必要なことから、馴染みのない方にとっては難しい可能性があります。
いざというときに焦らないように事前に備えて置ければ安心ですね。
そこで今回は、知っておくべき基本的な流れや知識についてお話していきます。
不動産相続の流れ
住居用不動産の相続はいくつかのステップを経て行われます。
まず、故人の配偶者や子どもたちを含む法定相続人を特定します。
相続人については別の記事で説明していますが、場合によっては孫や兄弟姉妹も相続人になることがあります。
相続人が複数いる場合は分割が必要になります。
分割方法は代償分割、換価分割、共有分割の3つに分けられます。
代償分割とは、相続人の1人または数人が不動産を相続し、他の相続人には相続すべき不動産に見合う対価を金銭で支払う方法です。
換価分割とは、不動産を売却して、その代金を分割する方法です。
共有分割は不動産を物理的に分割せずに、不動産全体を複数の相続人が遺産分割協議や法定相続分に応じて共有する方法です。
相続登記を法務局で行い、不動産の正式な所有者を変更します。
次に、不動産の市場価値を評価します。
不動産は資産としての価値が大きい場合相続税に与える影響も大きくなります。
建物の評価は基本的には固定資産税評価額と等しくなります。
土地の評価は路線価もしくは倍率方式によって計算されます。
手間を省きたい場合や計算が不安な場合は、不動産鑑定士などの専門家に鑑定を依頼すると良いでしょう。
その後、相続税の申告と納税を行います。
相続税は故人の遺した財産と相続人の数に基づいて計算されます。
住居用の不動産のみではなく、現預金や金融商品を含めた金額で計算し、必要に応じて相続税の支払いを行います。
税理士などの専門家のアドバイスを受けることで申告がスムーズになります。
相続時の選択肢
相続時には、不動産に関していくつかの選択肢があります。
1つ目はその不動産を受け継いで自分が暮らすという選択です。
もともと同居していた最もシンプルな方法であり、思い出の家で暮らし続けることができるというのもメリットのひとつです。
一方で、現在の生活拠点が離れている場合には難しい選択になります。
2つ目は不動産を売却するという選択です。
この場合は、不動産を現金化することで資産としての流動性があがるだけではなく、以降の維持管理に関する手間が無くなるという点でも選びやすい選択肢になります。
一方で、関する税金の支払や手数料が発生してしまいます。
また、売却の成立までには時間がかかる可能性もあります。
3つ目は賃貸に出すという選択です。
この場合は定期的な収入源を得ることができるうえ、将来的に値上がりが見込めるのであればさらに資産を増やすことができます。
ただし、管理の手間や入居者とのトラブルへの対応が必要です。
選択を行う際には、不動産の状態や市場価値、自身のライフスタイルや将来の計画を総合的に考慮することが重要です。
相続争いを避けるために
不動産に限った話ではありませんが、相続に伴う紛争を避けるためには、生前に遺言を作成し、具体的な意向を記録することが有効です。
遺言は法的要件を満たす必要があり、弁護士などの適切なアドバイスを受けることが望ましいです。
また、日頃から家族間でのオープンなコミュニケーションも重要です。
その際には感情的にならず客観的な視点で話し合うことが望ましいです。
相続は様々な分野の専門家と連携して進めていくことが必要になります。
いざ相続を考えるときには、余裕が無い場合も想定されます。
自分や家族の状況を把握してくれており、一括して各種専門家との窓口となってくれる信頼出来る相談相手がいると安心ですね。
まとめ
不動産の相続に際しては、法的なプロセスを正しく理解し、適切に対応することが重要です。
一連の流れを抑えておくことでスムーズな相続が可能となります。
また、相続後にどう処理するのか方向性を定めておくことも大切です。
いざというときに困らないように、転ばぬ先の杖として準備をしておきたいですね。